感謝

3週間前くらいから、右目の視界の内側に影ができていた。

本が読みづらく、パソコンも打ちにくい。

病院嫌いな僕は、それでも病院には行かなかった。

しかし、影が少しずつ大きくなった。

さすがにやばいと思って、近くの病院に行った。

眼の奥の写真を撮って、優しいおばあさん先生は言った。

「大変だーはがれてるよ。すぐ手術しないと、失明するよ」

ということで、翌日に手術、1週間の入院ということになった。

初めての手術。初めての入院。

手術前の血圧は高かった。平静を装っていたが、正直こわかったので。

でもまったく痛くなかったし、15分程度で終わった。

問題は入院生活。一週間の予定だったが、二日でギブアップした。

まだ手術をした右目は、水の中で目を開けたようにぼやけていたが、

無理を言って、自宅で安静を条件に退院させてもらった。

狭い空間。食事と寝ること以外は、何もすることがない。というかしてはいけない。

無理だった。病気になってしまいそうだった。

先生、退院するために少しだけ嘘をつきました。ごめんなさい。

 

退院して1週間がたった。まだ少し見づらいが、

やっと本が読めるようになった。仕事もできるようになった。

健康であること、元気で普通に生活できることはありがたいことなんだと思った。

感謝。感謝。感謝。

 彩雲(さいうん)