「ありがとう もも」

16年間いっしょに暮らした愛犬「もも」が今朝亡くなった。

 

一昨々日(19日)。

仕事から帰ったらいつもの通り玄関でワンワンワンと出迎えてくれた。

そして一緒に晩ご飯。

自分のご飯を食べ終えたあと、

尻尾を振り、食卓に座る私のふくらはぎに鼻先をなすりつけ、

クゥーンクゥーンもっとちょうだいと言ってくる。

ほんの少しだけ私のおかずを分けてあげる。

ご飯がすんだら、いつも通り奥さんと散歩に出かけ、おしっことうんち。

今日も普段と変わらない一日が終わると思っていた。

でも、急変は散歩から帰って30分後にやってきた。

ももは突然に横たわって、息を荒くし、全身を震わせた。

犬の救急病院に連れて行ったら、肝臓がかなり腫れていて、

大きな腫瘍もあると言われた。

治療は出来る状態ではなく、とりあえず眠らせるために鎮静剤を打ち、

家に帰り様子を見守った。

彼女は2年前にも死にそうになった。

そのときも覚悟したが、なんと持ち直した。

私たちは不死身のももちゃんと呼び、

今回もあのときのように、奇跡が起こってくれと願った。

 

一昨日(20日)。

ももをお店に連れて行き様子を見ることにした。

息は少しだけ落ち着いたが、ずっと横たわっていた。

それでもなんとか3回ほど自力で立ち上がったが、

すぐにころんと転がった。もう身体が支えきれない。

仕事を終え、家に連れて帰る。

あいかわらず、立てない。口にできるのは水だけ。

 

昨日(21日)。

朝、おしっこがでないので病院に連れて行く。

熱が39度あり、不整脈もでているとのこと。

とりあえず点滴をして、熱を下げることになり、

仕事帰りに迎えにいくことになった。

少しでもよくなることを願った。

でも、迎えに行くと、酸素室に入りほぼ昏睡状態になっていた。

一晩病院にあずけ翌朝迎えに行くことにした。

死ぬなら、いっしょに暮らした家で死なせてあげたい。

 

そして今日(22日)。

病院の開始時間の9時に迎えに行くつもりだったが、

容態が悪化したとの電話が入り、急いで病院に向かった。

生きてるうちにもう一度会いたいと思いながら。

でも間に合わなかった。すでに亡くなっていた。

まだ身体が暖かかった。

苦しむ様子はなく逝きましたよ、と先生が教えてくれた。

せめてもの慰めの言葉。

生きている時に、ももの目を見ながら「ありがとう」と言いたかった。

彼女の存在は私たちをずいぶん助けてくれた。

真っすぐに誰かを可愛がり、誰かから必要とされるのは、

生きていくためにとても大事なことなんだと思う。

泣いた。号泣した。

私はものすごくかっこ悪く泣いてしまう。

嗚咽、鼻水、子供みたいに泣く。恥ずかしいけどしょうがない。

あとから聞いたのだが、

昨日病院に行く前にももは自力でほんの少しだけお座りをした。

そして、最後の別れを奥さんにした。

たぶん、一番可愛がってくれた人に、

「ありがとう。さようなら」を言ったのだと思う。

残念ながら私は見れなかった。

写真を見せてくれたのだが、たしかにお座りしていた。そして笑ったようにみえる。

 

令和元年8月22日午前8時10分頃、ももちゃん逝く。

目の前には硬くなり冷たくなったももがいる。

「ありがとう もも」

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最後の微笑み