生まれ変わり(ショートショート)

私は天国にいる。

ここはとても綺麗で心地よいところだが、

そろそろ生まれ変わらなければならない。

天国に居る神様が目の前に来て、

こう言った。

「次はどうしたい?」

場所や性別や容姿など自分で選べるのだ。

私は迷っている。

これまでと同じような人生を選ぶか、

これまでとはまるっきり違う人生を選ぶか。

 

私はこれまでに111回生まれ変わっている。

地球のすべての国に生まれ変わり、男も女も経験した。

素晴らしい両親を選んだり、問題を抱えている両親を選んだり、

様々な人生を経験し、学びを重ねてきた。

つまり、これまで通り地球に転生し、地球人としての学びを深めるか、

それとも地球でない星に転生し、未知で冒険的な人生を選ぶかを迷っている。

優しさで顔をいっぱいにした天国の神様が、

「明日中に決めなさい、要望は3つまで叶えてあげます」と言った。

 

翌日、神様に言った。

「まだ地球人に発見されていない、未知の星に転生したいです」

「前世の記憶を持って生まれ変わりたいです」

「強くてかっこいい男がいいです」

「おっけー」と神様が微笑んだ。

 

気がつけば私は、暗くてジメジメした場所にいた。

どうやらこの星には太陽の光がわずかしか届かないようだ。

私は自分の身体を見た。

身体は平べったく、地面を這い、短くて小さな足らしきものが、無数に生え、頭に角が

3本ある。

周りを見れば俺と同じような生き物が、いっぱいる。ただ角は1本か2本しかない。

この星では3本角のこの姿が強くてかっこいい姿ということか。

 

この私は、何年くらいの寿命があるのだろう。

いつまた天国にいけるのだろう。

前世の人間の記憶を持ったままの私には、

この星もこの身体もあまりにも過酷すぎる。