ネパール滞在記

<1日目>
3年と半年ぶりのネパール。

真夜中に出発する飛行機に乗るために、

夕方6時頃に仙台の自宅を出て、羽田からバンコクを経由して

カトマンズに着くまで約15時間かかった。やっぱりネパールは遠い。



今回の主な目的は、

友人のkederさんと彩雲のオリジナルタンカの打ち合わせ。

彼の会社はカトマンズの古都と呼ばれるパタンにあって、

タンカ(仏画)や真鍮仏像、

ジュエリーなどのネパールの伝統美術品をつくり国内外で販売している。


カトマンズに着いたら、彼が迎えに来てくれてた。

さっそく予約してくれていたホテルへ直行。

部屋に入ってびっくした。だだっ広い。

天井も高く、角部屋の2辺はすべて床から天井まである窓になっている。

ベランダも付いていて7階なのでカトマンズの街が一望できた。

贅沢なほどいい部屋・・・が、広すぎて殺風景・・・・・

しかも大きなベッドの頭の側の壁には、

大きなブッダの両目だけを描いた絵が飾ってあり、

足側の向こうの壁には、

これまた床から天井まである、幅は両手を広げても間に合わないほどの

巨大な鏡が取り付けてある。
(ここで一人で寝るのか・・・・少し怖い・・・・)

「ここはいくらですか?」怖々と聞くと,

「大丈夫よ心配しないで安いよ」

ここは彼の親戚が経営しているホテルらしい。
(でもいくらするのだろうやっぱり心配・・・・)


今日は仕事の話は少しだけにして、

二人でホテルのラウンジで夕食をとった。

チキンカレーを食べた。美味しかった。

夜・・・やっぱり少し怖い。


<2日目>
朝、8時半にbreakfast。

カプチーノと目玉焼き、ベーコンとポテトそしてトースト2枚。

実は朝は食べない。もう30年以上食べる習慣がない。

朝はコーヒーだけでいい。

それに炭水化物ダイエットをしているので、

パンとご飯は当分食べていない。

だが、せっかくkederさんが気を利かして頼んでおいてくれたので、

ネパール滞在中は朝昼夜の3食、なんでも食べることにした
(昨日もカレーライス食べたし)

きっと太る。


食事がすみ、彼の事務所兼自宅に歩いていく。わかりやすい一本道。

この道沿いのあちこちに仏教とヒンズー教の小さな寺院がたくさんある。

シヴァ、ビシュヌ、ラクシュミ、ガネーシャ、観音様、仏陀

いたるところで祀られている。

途中には観光名所の元王宮だったパタンのダルバール広場がある。

入場料は約600円。色んな国の観光客が写真を撮っている。

今日はゆっくり見れないので明日以降にみることにした。

約20分でkederさんの事務所に着いた。

彩雲オリジナルタンカの見本を見せてもらった。

いい・・・とてもいいと思った。

額縁にいれ机上にも置ける小さなタンカ。

39尊の神様仏様を描いてもらうことになっている。

天然の岩絵具と24金を使った、深くて独特な色合いのミニタンカ。

<雷を操るヒンズー教の神インドラ>

このミニタンカは去年の秋頃に始まった企画だが、

試行錯誤し、紆余曲折し、今日やっと決まった。

全部できあがるのに数ヶ月はかかるが、よかった。できるのが楽しみだ。

食事をご馳走になった。ネパール伝統の料理。美味しかった。


<3日目>
breakfastを食べて、タクシーでカトマンズのタメル地区へ。

ここにはタンカや仏像、

シルバージュエリーや雑貨のお店がたくさんある。

世界中のバイヤーが集まっているところ。

埃っぽい街を、お散歩気分でゆっくり歩き、面白いものを探した。

オリジナルタンカに予算が要るので、あまり買えない。

でも、小さなタンカが一軒だけ売っていたので、5枚買う。

あとは、金の染料のタンカが綺麗だったので5枚買った。

<金の薬師如来

お昼はレストランに入り、カプチーノを飲む。食事はしなかった。

ネパールにきてからたくさん食べたので体が重い。

3時頃、kederさんがタメルまで迎えに来てくれた。

懐かしのSUZUKIのワゴンアールだ。(昔乗っていった)


パタンのダルバール広場で降ろしてもらった。

入場料を払って見学した。

<ダルバール広場>

<獅子の上には緑多羅>

ここにある建物の階段や梁にたくさんの人が腰掛け、

おしゃべりしたり、ぼーっとしたりしている。

ここはユネスコ世界遺産に登録されていると聞いたが、

気にせずに触っても腰掛けてもいいらしい。


1時間くらいぶらぶらして、

kedarさんの事務所に行って、ラーメンと餃子をごちそうになった。

日本のラーメン屋さんみたいなメニュー。

これもネパールの伝統料理だそうだ。

「日本とネパールは似ているものがたくさんあるよ」

「今、ネパールはお祭りの時期だけど、これも日本とそっくりよ」

とkederさんが言った。

そういえば、夜に日本と同じような祭り囃子が聞こえてくる。

ネパールと日本は、昔どんな関わりがあったのだろう。


<4日目>
今日も朝からタクシーでタメルへ行く。

昨日買った小さなタンカが気に入ったので、あと5枚買った。

一軒の本屋さんから、

「日本の本いっぱいありまーす見てくださいー」と、

流暢な日本語で引き止められた。

中へ入ってみると、ほんとだ、日本の小説がたくさんあった。

主に日本のバックパッカーから買っているのだそうだ。

どれだけの国を旅をした小説たちだろう。

でも本は3冊も持ってきている。なのでネパールのトランプを買った。


2時くらいにkedarさんの事務所へ行くためにタクシーに乗る。

「セーム タクシー」「ミー リメンバー?」

覚えている。こんな陽気でおしゃべりな人は忘れない。

昨日、ホテルから乗ったタクシードライバーと同じ人だった。

縁は大事にする。若いタクシードライバーに親近感を覚えた。

「パタン ダルバール ゴー」 「オッケー」

走り出して、5分後にタクシーは釘を踏んでパンクしてしまった。

彼はすぐに修理をするから、待っててと英語でいった(・・と思う)。

約10分かかったが、

汗びっしょりになりながら手際よくタイヤを交換した。

10分の遅れを取り戻そうとしたのか、

彼は車とバイクと人と犬と砂埃で混み合う道路を縫うように走った。

車と車のあいだをギリギリにすり抜ける。ほんとに上手い。


kedarさんの事務所へ着いて、お金を払うときに、

「ユー アー ミラクル ドライバー」と自然に口に出た。

彼は優しい顔をして、すごく嬉しそうに「サンキュー」と言った。

ネパール人は素朴で優しい人が多いように思う。

お店の人、タクシーの人、ホテルの人、今回は特にそう思った。

もっと英語を勉強しておけばよかった。

もっと彼らと話がしたいと思った。


<5日目>
午前中はホテルでゆっくりして、

午後から、歩いてkedarさんの事務所へ行く。

カトマンズには野良犬がいっぱいいる。(たぶん野良猫もいっぱいいる)

ネパールは仏教とヒンズー教の国。

この2つの宗教は殺生をしないので、

道を歩くといろんな犬に出会う。

彼らは昼間は吠えない、それからけっして目を合わせない。

だが、人間が寝付くころ彼らは待っていたようにうるさく吠える。

人間と犬が共存していくためのルールだろうか。


彩雲オリジナルタンカの最終の打ち合わせをしたあと、

近くのヒンズー教の有名なお寺にkedarさんと奥さんと僕の3人でいった。

額の中心に赤で染色した花をつけてもらい、シヴァ神に祈った。

「ありがとうございます」


kedarさんの弟さんは日本で暮らしている。仏教の先生をしている。

偶然だがたまたま今回は弟さんがネパールに帰省していた。

約2時間、たっぷりと仏教とネパールのことを教えてもらった。

すごくわかりやすかった。(ありがとうございました)


夕食はkedarさんと、まだ若い息子たち2人と、チキンカレーを食べた。

たくさんの従業員を抱えるkedarさんは、

その体格と合わせてとても貫禄がある。

歩き方や振る舞いは誰が見てもボスだろうと思うが、

やはり子供たちの前では普通の親父になる。よかった普通で。

ネパールで一番食べたのはチキンカレーだ。どこもとてもおいしかった。

明日帰る。帰りは20時間くらいかかる。のんびりゆっくり帰ろう。

みなさんありがとうございました。

<kedarさんの事務所にあった大きな宝冠の薬師如来と白多羅>