お世話になっているものに対して敬意のようなものをもっている。
たとえば、使っているスマホやノートや鉛筆といったものにも。
誤って落っことしてしまったら、反射的に「ごめん」と言ってしまう。
20代の頃、ある会社に入って自分の机をあてがわれた。
毎朝仕事をする前に机を拭いて、今日もよろしくと心の中で言っていた。
周りに、同じように机をあてがわれたおじさんたちが数名いたが、
机を拭いているのを見たことがなかった。
当然机の上は汚かった。
毎日お世話になっている自分の机ぐらい、
自分で綺麗にしてあげればいいのにと思ったことをいまだに覚えてる。
物だけではなくて空間にも敬意をもって挨拶している。
朝、お店に着くと、「おはよー今日もよろしくー」
帰るときは「今日も一日ありがとー」と、
お店空間に向けて、他には誰もいないので声を上げて言っている。
物や空間に対してのこんなお付き合いはずっと以前からの習慣になっている。
こういうお付き合いをしていると、不思議なことが起こる。
敬意を払っているものたちが、ときどき教えてくれるのだ。
ノートや鉛筆からは、ここ間違ってるよとか、もっと考えてとか、もっと丁寧にとか。
お店からは、ここ綺麗にしてとか、ここ変えて欲しいとか。
あとは、よくがんばりましたーとか。
別に頭がおかしくなったわけではない。
これは僕の頭が勝手に作り出した物語(妄想)なのだが、
敬意とその返礼から成るこの物語は、現実的にけっこう役に立つ。