「老」

2年くらい前にテレビが少しぼやけて見えるようになった。

目に力を入れて焦点を合わせればちゃんと見えるが、長くはできない。

老化による目の筋肉の衰えがやってきた。

1年半くらい前にとうとうメガネを買った。

生まれて初めての度付きのメガネ。少し強めの乱視だった。

でも、この頃はまだ手元はよく見えていた。

 

いま、63歳になって疲れているときは本が読みずらくなった。

時間の問題だと思う。疲れていない時も文字がぼやけ老眼鏡のお世話になるのは。

手を見ると、甲に老人性のシミがポツポツとできている。

この次はどこに「老」の印は表れるのか。

とにかく私は順調に歳を取っている。

 

若い頃、自分が老人になるのは100年も200年も先のことだと思っていた。

老人になる自分が想像できなかったから。

しかし歳を取るのは意外と早かった。

あっという間ではないが、ずいぶん先の話ではなかった。

 

仕事は一人で自由に好きなことをやらせてもらっている。

だから身体が動くうち、頭が回るうちは続けたい。

働く時間は短くしていきたいが、できれば死ぬ直前まで。

今やっている仕事が好きだ。

こう言えることはとても幸せなことだと思う。

「老」という漢字も好きにならなければ。

 

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