ファンタスティック

サウナと冷蔵庫を行き来している気がする。

連日猛暑で家に長くいられない。

エアコンが古くて壊れそうで効きが悪いので部屋の中がサウナみたいになる。

なのでエアコンの効いたカフェを数軒渡り歩くのだが、今度は冷蔵庫並みに寒い。

でも冷蔵庫カフェは大丈夫。持参のシャツを羽織れば寒くない。

問題は、冷凍庫かというぐらい寒いところもあって、

この場合はシャツを羽織っても寒い。

お気に入りのカフェなのだがしかたない、20分くらいで出る。

猛暑を抜けたらまた来よう。

カフェで働く人は動いているし、仕事なので緊張しているし、

寒さをあまり感じないというのは理解できるが、

他のお客さんはどうなんだろう、寒くないのかなと見渡してみる。

若い人はまったく気にしていない様子、歳をとった人も寒そうにしていない。

僕だけ寒いのか?いやきっとガマンしている!誰か寒いと言ってくれ〜などと考える。

 

「バカの大足マヌケの小足ちょうどいいのがあんぽんたん

中学生のとき同級生の女の子が言っていた。

言い回しが面白かったのでずっと覚えている。

たしか名前はづっちゃん。みんなからそう呼ばれていた。

「いいのがないじゃん」と言うと、

「大足と小足は個性的でいいってこと。あんぽんたんさんは無個性でいちばんだめってこと」

たしか、このような会話を交わしたように記憶している。

ちょうどいいのがいちばんだめ?無個性?しばらく考えてなるほどと納得した。

でも、年をとってわかった。

ちょうどいいのはいちばん賢くて難しい。

ほどほど、適度、良いかげん、こういったものを手に入れたり到達したりするのは難しい。

ずっとそこに留まったり、維持し続けたりするのも難しい。

人間は偏るし、中程にはずっといられない。

だからちょうどいいのは、あんぽんたんではない。

ちょうどいいのはファンタスティックだ。

 

ああ、づっちゃんにこの気づきを伝えたい。