僕には過去の時間がたくさんあるので、必然よく振り返ってしまう。
とういうよりいつのまにか勝手に頭が過去を振り返っている。
気になっている人のことや、忘れられない諸々の出来事や、
そしてなぜか、今まであまり考えたことのない人のことや、
あまり気にしていなかった出来事も、気がつけば頭の中に置かれて、
それについて考えたり、やさしい気持ちになったり、イヤな気持ちになったりする。
頭の中のことなので、周りには気づかれていないと思うが、
表情は優しい気持ちのときとイヤな気持ちのときはちがうだろうから、
周りはなんとなくわかるかもしれない。ときには誤解を与えてしまうかもしれない。
できれば嬉しかったこととか、勇気を出したこととか、
自信になったこととか、そんなことだけ思い出したいが、
そうはいかない。思い出したくないこともちゃんと思い出す。
振り返るという行為は、
あのとき気づかなかったことを気づかせてくれるというおまけがつくことがある。
いろいろな経験を積んで少しは賢くなったという理由で気づくこともあるし、
なぜこんな簡単なことがあのときはわからなかったんだろうと思うようなこともある。
あのとき気づいていればと悔しい気持ちになるときもある。
逆に気づかなければよかったと思うこともある。
人はたぶん過去を忘れてはいない。どこかで覚えている。
人から傷つけられたこと、逆に人を傷つけたこと、
これらは誰にでもあると思うが、
ちゃんと頭や心の中に残っている。
時間の経過とともに、
これらは大きさを変えたり色や濃淡や形を変えたりするみたいだが、
原型は残っているように思う。
楽しかったことと辛かったこと、
傷つけられたことと傷つけたこと、
達成したことと挫折したこと、
人はどっちの方をより思い出すのだろう。